山形県の鉱物概要
山形県の鉱物は、秋田県や新潟県など周囲の県と比較して目立った鉱物があまり産出しなかったため、全国的にはあまり知られていない状態です。鉱物に関する研究自体も他県と比べて非常に少なかったたことも一因です。しかしこれまで発表された文献を要約すると、約200種類の鉱物が報告されております。忘れ去れつつありますが鉱山業が盛りの時代には、各地の鉱山から立派な鉱石標本が産出しました。また日本の新鉱物や国内でも珍しい希産鉱物などの大変珍しい鉱物も発見されております。
全国的に有名な山形県の鉱物は五十川の方沸石、大泉鉱山の鉱石 (黄鉄鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱)、蔵王童子平の石膏、八谷鉱山の鉱石 (閃亜鉛鉱・方鉛鉱・水晶) などです。これらの鉱物は博物館や鉱物図鑑、Webサイト等でお目にかかることができますが、それ以外の鉱物はほとんど知られておりません。そこで当サイトでは知られざる山形県の鉱物を詳しく紹介します
黄鉄鉱 (大泉鉱山)
方沸石 (五十川)
石膏 (童子平)
水晶 (八谷鉱山)
鉱山跡と鉱物
山形県内の多くの鉱山が、新第三紀中新世に形成された銅・鉛・亜鉛の鉱脈型鉱床です。黄銅鉱-黄鉄鉱-閃亜鉛鉱-方鉛鉱-石英の5種類の鉱物を基本構成物とする鉱脈であるため、ほとんどの鉱山跡のズリ山で採取できる鉱物は上記の5種類のみに限られます。またこれらの鉱物に加え、方解石、重晶石、緑泥石などが伴われる場合やがしばしばあります。
黄銅鉱 (幸生鉱山)
黄鉄鉱 (幸生鉱山)
閃亜鉛鉱 (日正鉱山)
方鉛鉱 (日良野鉱山)
山形県の希産鉱物
前述した通り、県内の多くの鉱山では黄銅鉱・黄鉄鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱・石英の5種類の鉱物みに限られますが、一部の特異な鉱山からは国内で非常に珍しい鉱物が発見されております。
大張鉱山からマコビッキ鉱、銅マコビッキ鉱、硫銅蒼鉛鉱、ホドルサ鉱、クプチク鉱、パデュラ鉱などの珍しいビスマス鉱物が発見されております。特にマコビッキ鉱ややパデュラ鉱などは国内で初めての発見でした。
マコビッキ鉱 (大張鉱山)
パデュラ鉱 (大張鉱山)
山形県の日本産新鉱物
山形県を原産地とする新鉱物は全くありませんが、他県を原産地とする日本の新鉱物は本県においても発見されております。三原鉱・都茂鉱・生野鉱・轟石の4種類の鉱物があります。三原鉱および都茂鉱は大張鉱山、生野鉱は大広鉱山、轟石は森鉱山から発見されております。
三原鉱 (大張鉱山)
都茂鉱 (大張鉱山)